裸ん坊の心
映画「人のセックスを笑うな」で、永作博美さん演じるユリがふんふん鼻歌を歌いながら靴下を脱ぎ捨てるシーンがすきだ。ラジオから流れる『ANGEL』のなつかしいような歌声が、つめたい朝に乾いて響いて、ストッキングのうえにパンツをはいちゃう奔放なユリにぴったりなんだ。
今年に入ってその『ANGEL』をくりかえしくりかえし聴いてる。
ユリが39歳で、夫(猪熊さん)と住む家とは別に、アトリエをもっていることもひとつだが、『ANGEL』を聴くと、あんたも生きてて良いよとすこし背中を押してもらえる気がする。
わたしもあと数ヶ月で39歳をむかえる。
激安賃貸の6畳の小さなアトリエを持って、ときどき絵を描いて暮らしている。
毎朝目覚めるたび、わたしはなぜ東京のど真ん中にいるんだろうとおもう。
そしてここからすこし離れたわたしの実家で仕事をしながら暮らす夫に申し訳なく思う。家事も夫婦生活も放棄して、自分を生きる選択をして、ごめんよ。
この生活をえらぶきっかけとなった、20年来の主治医である精神科医に
先日いわれた。
「自分の気持ちが、わかるようになるといいね」
そう。わたしは自分のきもちというものがてんでわからない人間だ。
ひとつだけわかっているのは、絵を描いて生きていきたいということ。
5歳から消えないこの気持ちだけが人生の頼りである。
そしておそらく発病も5歳ごろからなのだと思う。
精神病というものはくくりが非常にあいまいでやっかいなものであるらしい。
正直わたしはじぶんが何病であってもどうでもいい。
うつ病なんだかPTSDなんだか、名付けてもらったが正直どうでもいい。
日々は変わらない。
ただ生きたい。こころから人に遠慮せず生きてみたい。
じぶんと会ってみたい。
だから日記を書くことにする。
裸ん坊のこころで、素直にかいてみたい。